高密で最低レベルの質である民間賃貸住宅が

インナーシティにおける貧困・民族性などの数多くの社会問題は,ワード
(Ward;1989)によれば19世紀半ば以降にすでに出現していた。都市の内部
地域のうち,深刻な住宅問題として従来から数多くの研究がなされているのが,
インナーシティにおける住宅問題に関連する諸問題である(Davisほか;1974,
HirschandLaw;1979)。特に,住宅の老朽化について,ブラック・プリー
マス(PrakandPriemus;1986)は,住宅の荒廃について政策や需給者相互
の関係からモデル化を試みた。そのなかでは,政府による政策の与える住宅管
理や財政面への影響が強調されている。また,バドコック・クロハー(BadcockandCloher;
1981)やショート(Short;1982)はインナーシティにお
ける住宅問題として高密で最低レベルの質である民間賃貸住宅が破壊され,建
造物の破壊だけではなく社会的剥奪などのソフト面での衰退など多角的な衰退
が生じていることを指摘した。同様に成田(1978)はインナーシティ問題を住
宅の老朽化などの物的衰退とともに,失業,貧困,犯罪などの社会的病理現象
(CorsiandHarvey;1975)の集中など社会的不利益と称される質的衰退も含
まれるとした。また小森(1978a)は,インナーシティにおける貧困は所得以
外の要素を考慮した多元的貧困(multipledeprivation)と呼び,住宅につい
ては老朽,過密,設備不十分な住宅への居住をあげている。

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このようなインナーシティにおける貧困な住宅状況について,建築学から三
宅(1979)は現代的貧困の典型として,木造アパートの居住者と経営者の両面
から分析し,また牛見(1974)は職場と住宅を分離し難い「居住立地限定階
層」の成因や住宅事業について分析した。

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