日本の家

他方、この意識があれば、施工する業者やオーナーの意識をも変えることにつながる。地域によって異なるので一様に見ることはできないが、築一○年以上が経過した木造アパートは、入居率が低下し空室の増加が見られる。メンテナンスの仕方にもよるが、手間暇をかけない安普請では、安心して居住できる期間も当然短くなる。ひと頃、一五年ぐらいで元が取れなければ、建てる意味がないなどと言われた時代もあった。手間暇をかけた分、年を経るごとに味わいを増す、医・殖に配慮したアパートなら、住んで見たいと言う人も増えてくるのではないだろうか。地震が起こってからでは遅い。建物設備の地震に向けた先行投資なら、←ここから情報を探せます。住まいの歴史は、雨や雪を避けることから始まり、暑さ・寒さを防ぐ方法が考えられ、やがて家族が安全に助け合って暮らすための器となり、知恵と工夫によって、気候風土に合った伝統文化として作り上げられてきた。例えば寺社仏閣に見られるような床の高い家は、風通しをよくし、建物を守ると同時に、食物の安全を図り、湿気の多い気候の中で体調を維持する工夫がなされていた。日本の家は、家長を中心として、助け合う心を養い、一人前の大人になるための社会性を育んできた。この点で我が国の伝統的な住環境の中には、医と殖の考え方が自然に取り入れられていたと言える。家族間でもプライバシーは守られるべきであるが、度が過ぎると絆が崩れ、過保護となり、結果として大きな悩みをかかえることになる。誰もがハウスメーヵーの立派に作られたパンフレットを見ればすばらしいと思う。しかし、そこには医・殖・住への配慮が見られないのが残念でならない。

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